救急医療

Posted on May 4th, 2010 by Author

救急医療(きゅうきゅういりょう)とは、疾患や、外傷、中毒等に対して緊急の処置ならびに対応の必要があるものに行われる医療体制。

救急医療には覚知、搬送、診療の3つが重要となる。まずはバイタルサインを確認して、心肺停止などの重症例では蘇生処置も加える。「素早い通報」「素早い蘇生処置」「素早い搬送」「素早い診療」の4つを「救命の連鎖」と呼ぶこともある。

急性期、超急性期への対応

疾患は症状が完成したか緩徐に進行している慢性期と違い、急性期は症状が時間とともに変化し、その間の適切な処置によって転帰が大きく変化する余地が大きい。特に、心肺停止状態では救急車到着までの間の蘇生処置が転帰に大きく関わり、来院時心肺停止(CPAOA)の予後は非常に悪い。

プレホスピタルの重要性

心肺停止の場合、救急車到着前、そして救急車乗車後の病院到着前の処置が非常に重要となってくる。救急救命士制度の創設により、救急車内での処置が拡大されている。また、救急救命士のスキル向上のためにACLS(二次救命処置)やJPTEC(病院前外傷処置)を受講する救急救命士も増加している。また、一般人でも自動車運転免許取得の際には心肺蘇生法(人工呼吸・心臓マッサージ)の受講が必須項目とされている。さらに意識の高い人の中ではAED(自動体外式除細動器)やBLS(一次救命処置、AED操作法含む)の講習を受ける人が出てきている。こうしたプレホスピタルでの処置が蘇生率に非常に大きく関わっている。

症状軽減・救命の優先

患者が救急医療を利用することとなったということは、耐え難い苦痛があるか、もしくは生命の危機が迫っているかなどの緊急性があることを意味する。この場合、正確な診断よりもこれらの緊急性に対する処置が優先される。また、複数傷病者の場合には重症の患者を最優先にする事(トリアージ)も行われ、複数の重症者がいる場合には「救命できる可能性が高く、より重症な患者」が最優先とされる。

応急処置

Posted on December 30th, 2009 by Author

応急処置(おうきゅうしょち)とは負傷や急病などに対してのさしあたっての手当てを指す。厳密にいえば応急処置は救急隊員が行なう行為と定義されているため、一般市民(バイスタンダー)が行なうものは応急手当(おうきゅうてあて、first aid)と呼ぶことになっている。

広義では、応急処置(手当)に止血法+心肺蘇生法も含まれるが、止血法+心肺蘇生法に関しては現在は救命処置(手当)と呼んで、より緊急性が高いため応急処置とは区別されている。

なお、応急手当・救命手当は怪我や病気を治療する行為(医療行為)ではない。あくまでも、負傷者や急病人を医師等に引き渡すまでの間に症状を悪化させないための一時的な措置であることに注意しなければならない。

応急手当・救命手当は、医療行為とは異なり、公的資格や救急法講習修了証の有無等は関係なく、人間として誰もが知っておかなければならない基本的な知識・技術と言える。しかし日本では一般市民への応急手当・救命手当の普及教育が遅れているため、いまだに「下手に手出しをするな」という風潮が強く存在する。これは手を出した時点で、刑法上の「保護責任者」とされる事も原因となっている。ただし、応急手当・救命手当に関しては後述の「善きサマリア人の法」に相当する免責規定が日本の民法上にも存在するので、行うことに躊躇すべきではないとの意見が強い。

特に呼吸停止・循環停止は分単位で不可逆的な脳損傷を起し、救急隊員到着を待っていては手遅れになることが多い。そのため心肺停止者には躊躇することなく心臓マッサージと人工呼吸(必要があればAEDの使用もあわせて)を実施する必要がある。

基本的な心得

応急処置で重要なことは、二次災害を防ぐことと、人命救助の勇気を持つことである。自身の安全を確保した後、勇気を持って積極的に対処する必要がある。

なるべく一人では対処しない

近にいる人間に負傷者が居ることを先ず知らせる必要がある。もし、医師・看護師などの有資格者がいれば、より的確な対応が可能となる。どうしても周囲に誰もいなければ、自身が対処することとなる。

不用意に負傷者に近づかない

負傷者の発生した原因が明確でない状態で接近してはならない。有毒ガス中毒・酸欠・感電などであれば、負傷者に接近・接触しただけで発見者も被害を受ける可能性があり、二次災害となる。周辺の状況を確認し、自身の安全をまず確保する必要がある。交通事故などの場合、道路上に倒れている負傷者を移動させるにも危険がある場合がある。また、移動させるべきかどうかも判断が必要である。頚椎を保護して移動させたりするには知識も機材も必要になる。車に閉じ込められている場合、炎上の危険も考えなければならない。

消防への通報

現場の状況を的確に連絡し、可能な応急手当・救命手当について指示・助言を得る(119番を受ける担当者も消防吏員である。全く心得のない小学生が、受付係の指示に従って父親に蘇生法を施し救った実例がある)。四囲(周囲)の状況から可能なことと不可能なことがあり、落ち着いて対応する為にも速やかに連絡を取る必要がある。

救命講習の受講

公的講習

病院や消防本部・消防署の多くでは、応急・救命手当の方法に関する講習会(救命講習 半日掛ける「普通」レベルと一日掛ける「上級」があるが、上級講習を行なう機関は少ない)を開催している。心配なく応急処置を行うためにも、これらの講習を受講しておきたい。

一般の人でも「応急手当普及員」の認定を取得すれば単独での救命講習ができるだけでなく、消防本部・消防庁などが発行する公式の修了証を授与できるので、救急隊員による講習だけでは追いつかないとされる現状では一般の人による取得が奨励されている。

また日本赤十字社が主催する赤十字救急法救急員講習を受講しておくことも万が一の際に応急手当を行なうのに有用であると考えられる。赤十字救急法救急員養成講習では、急病や事故、災害時等を想定した応急手当・救命手当を幅広く学べる。

民間講習

日本国内での民間講習はあまり多くはないが、メディックファーストエイド (MFA) や、エマージェンシーファーストレスポンス(EFR) 、国際救命救急協会など、アメリカに設置母体をおく民間救急法普及団体の講習会が開催されている。

人命を救う勇気を持つ

心臓や呼吸が停止している場合、そのまま放置しておくと間違いなく死亡する。救急車が到着するまでに何らかの応急処置を施すだけで、傷病者の生存率は極めて高くなる。自身の安全が確保・確認されれば、人の命を救う勇気を持って、躊躇せずに救命手当を実施することが必要不可欠である。

仮に救命手当を施して、蘇生後に何らかの身体傷害が残ったとしても、善意に基づくものであれば、日本では、民事上も刑事上も免責されるとするのが法学者の通説(緊急避難行為)であり、警察庁や総務省消防庁、厚生労働省、日本医師会、日本赤十字社などが共同で編纂した『救急蘇生法の指針』においても免責がはっきりと謳われている。多くの欧米諸国では、応急処置に伴う免責を規定する「善きサマリア人の法」(英:good Samaritan law)と呼ばれる法令が整備されており、積極的な応急処置の推進の一助となっている。